図 03しくみ館
ピンタンブラー錠を3Dで分解、鍵の切り込みを試す
一般的なシュラーゲの鍵では、刻みの深さは 1 段ごとに 0.381 mm ずつ違います。このわずかな段差だけで、違う鍵は回らなくなります。
この端末では 3D を表示できません。下の解説のステップを文章で読むことができます。
1 / 8 シリンダー全体手前の半分を切り取ってあるので、5 つのピン穴の中が見えます。デモを見るか、ドラッグして別の向きから見てください。
ドラッグで回転、ホイールか二本指で拡大します。
モデルが見せているもの
自宅の鍵と隣の家の鍵はほとんど同じに見えるのに、なぜ自分の扉しか開かないのでしょうか。答えは、錠の中に並ぶ小さな真ちゅうと鋼のピンと、コンマ数ミリずつ違う刻みの深さにあります。このモデルでは、鍵が入って内筒が回るあいだのピンの動きを見ることができます。
モデルは多くの住宅用の錠に使われている 5 本ピンのシリンダーで、中が見えるように真ん中で切ってあります。赤い面は外筒の切断面、金色の面は回転する部品である内筒の切断面です。ピン、ばね、鍵、カム、かんぬきは切らずにそのまま見せています。鍵の刻みとピンの長さは、シュラーゲ Classic の鍵について公開されているキーカットの規格に従っているので、表示の数値は推定ではなく実際の寸法です。
試せる鍵は 4 本です。正しい鍵の刻みは 3-7-2-6-4、違う鍵は 5-2-8-3-6 です。3 本目は正しい鍵とほぼ同じで、刻みが 1 か所だけ 1 段深くなっています。4 本目はあなたの鍵です。操作にある 5 本のスライダーで刻みの深さを決めると、動かすたびにモデルが刃を削り直します。
内筒がひとりでに回らないわけ
シリンダー錠の主な部品は二つです。外筒は扉に固定されています。その中に内筒があり、これは鍵を差す溝、つまり鍵穴のある真ちゅうの円筒です。内筒を回すと後ろのカムが回り、カムが扉を閉じているかんぬきを引き込みます。何も止めるものがなければ、平たい金属片を鍵穴に差し込むだけで内筒は回ってしまいます。
それを止めているのが、内筒の上部をまっすぐ貫き、そのまま外筒の中まで続く一列の穴です。どの穴にも 2 本のピンとばね 1 本が縦に重なって入っています。下のピンが下ピンで、鍵の上に乗ります。上のピンが上ピンで、下ピンの上に乗り、ばねがその列全体を下へ押します。
鍵が入っていないと、ばねはどの列もいちばん下まで押し下げます。すると上ピンは一部が内筒に入り込み、上端はまだ外筒の中に残ります。鋼のピンがこうして二つの部品をまたぐと、ちょうつがいを貫く軸と同じ働きをします。鋼のピン 5 本を真ん中でせん断しない限り、内筒は回りません。
正しい鍵がすること
鍵の上の縁には V 字形の刻みが並んでいます。鍵を差し込むと、下ピンの丸い先が刻みに沿って上下します。鍵を入れるときにカチカチと感じるのはこのためです。鍵が奥の止まりまで入ると、どのピンも自分の刻みの底に収まります。
内筒と外筒の境目をシアラインと呼び、モデルでは赤で示しています。下ピンの長さは、それぞれの刻みの底からこの線までの距離とぴったり同じに作られています。深い刻みには長い下ピン、浅い刻みには短い下ピンが入ります。正しい鍵を奥まで入れると、どの下ピンの上端もシアラインとそろうので、下ピンと上ピンの継ぎ目がちょうど内筒と外筒の境目に来ます。二つの部品をつなぐものがなくなり、内筒が回ります。
内筒が回るあいだ、上ピンは外筒に残って内筒の外側の面の上をすべります。下ピンは内筒と一緒に回っていきます。4 分の 1 回ったところで、後ろのカムがかんぬきを引き込み終えています。逆に回すとピン穴が再び一直線にそろい、ばねが上ピンを内筒の中へ押し戻します。鍵を抜けるのはそのあとです。
違う鍵が回らないわけ
違う鍵はピンを違う高さに持ち上げます。ピンの列が合わない状態は 2 通りあります。刻みが深すぎると下ピンが低すぎて、その上の上ピンがまだ内筒に垂れ下がっています。刻みが浅すぎると下ピンが押し上げられすぎて、今度は下ピンが外筒の中に入り込みます。どちらの場合もピンがシアラインをまたぐので、内筒は動きません。違う鍵で「鍵を回す」を押すと内筒が小さくびくっと動き、止めているピンが赤く点滅します。
違う鍵をモデルに入れると、表示には −0.76、+1.91、−2.29、+1.14、−0.76 mm のずれが出ます。プラスは下ピンが外筒に突き出していること、マイナスは上ピンが内筒に垂れ下がっていることを示します。5 つのうちどれか一つだけでも、内筒は止まります。
おもしろいのは 3 本目の鍵です。正しい鍵と違うのは 1 か所だけで、その刻みが 1 段深く、深さ 2 ではなく 3 になっています。差は 0.381 mm です。ピン 3 の下ピンがその分だけ下がり、上ピンが内筒に 0.38 mm 入り込んで、錠は閉じたままになります。
数値を確かめる
シュラーゲのサービスマニュアルには、刃の下の縁から測った各刻みの底の高さ(ルート深さ)と、それに合う下ピンの長さが載っています。深さ 0 がいちばん浅い刻みで、深さ 9 がいちばん深い刻みです。
| 量 | 値 | 求め方 |
|---|---|---|
| 深さの 1 段 | 0.015 in = 0.381 mm | ルート深さの表から |
| ルート深さ(深さ 0〜9) | 8.51 mm〜5.08 mm | 0.335 in − 0.015 in × 深さ |
| 下ピンの長さ(サイズ 0〜9) | 4.19 mm〜7.62 mm | 0.165 in + 0.015 in × サイズ |
| ルート深さ+下ピン | どの深さでも 0.500 in = 12.7 mm | 0.335 + 0.165 = 0.320 + 0.180 = … |
| 肩から刻み 1 までの距離 | 0.231 in = 5.87 mm | 間隔の図面から |
| 刻みどうしの間隔 | 0.156 in = 3.96 mm | 0.3872 − 0.231 = 0.1562 in |
| 刻み 5 つの鍵の数 | 10万 | 10⁵ |
| MACS 7 を守る鍵 | 79,666 | 刻みを 1 つずつ数える(下を参照) |
| 深さの公差 | +0.002 in = 0.051 mm | 1 段は 0.381 ÷ 0.051 = 7.5 公差分 |
4 行目は、下ピンが 10 種類だけで錠が成り立つ理由を示しています。刻みを 1 段深くすると刻みの底は 0.015 in 下がり、その深さ用の下ピンは 0.015 in 長くなります。そのためピンの上端は、いつも刃の下の縁から 0.500 in の高さに来ます。同じ理由で、モデルでは刃の下の縁がシアラインの 12.7 mm 下にあります。
上ピンも長さが変わりますが、変わり方は小さめです。マニュアルには長さ 0.235、0.200、0.165 in の 3 種類の上ピンがあり、それぞれサイズ 0〜3、4〜6、7〜9 の下ピンと組み合わせます。下ピンが長いほど上ピンは短くなるので、どの列も穴をほぼ同じ高さまで満たし、どのばねもほぼ同じだけ縮みます。モデルもこの 3 種類の長さを使っているので、上ピンの大きさがそろっていません。
10万という数は、5 か所それぞれに 10 通りの深さをどう組み合わせてもよいと仮定したものです。実際には許されない組み合わせがあり、それが次の節の話です。
となりの刻みの差が 7 段までに限られるわけ
シュラーゲのマニュアルには MACS(maximum adjacent cut specification、となり合う刻みの深さの差の上限)という値があり、この鍵では 7 です。となり合う二つの刻みの差は 7 段までです。0 のとなりに 8、0 のとなりに 9、1 のとなりに 9 がある鍵は作れません。
理由は形にあります。刻みはどれも開き角 100° の V 字なので、斜面は鉛直から 50° 傾いています。V の底は幅 0.031 in の平らな部分です。ある刻みの平らな部分の中心から、次の刻みの中心までは 0.156 in です。深い刻みの斜面を上ると、刃に沿って 1 進むごとに 1 ÷ tan 50° = 0.839 だけ高くなります。深い刻みの平らな部分の端から、となりの刻みの平らな部分の近い端までは 0.156 − 0.031 = 0.125 in なので、斜面はとなりに届くまでに 0.125 × 0.839 = 0.105 in 上がります。これは 0.015 in の段で 7 段分です。
つまり差が 7 段なら、浅い刻みの平らな部分はぎりぎり残ります。差が 8 段だと 0.120 in で、斜面が上れる高さを少し超えるため、深い刻みの斜面が浅い刻みを削り込みます。浅い刻みの中心は約 0.002 in 下がり、これは削りの公差と同じくらいです。差が 9 段だと 0.017 in 下がって 1 段より大きくなり、鍵はそのピンを正しい高さまで持ち上げられなくなります。
モデルは刃を同じ V 字の形から作っているので、これを自然に再現します。鍵を 0-9-2-6-4 にすると、表示に MACS 7 を超えたという警告が出ます。1 つ目の刻みがとなりの刻みに一部削られ、ピン 1 は本来の深さ 0 の位置より低くなります。
規則を守る鍵の数は、短い計算で数えられます。となり合う深さの順序付きの組 100 通りのうち、禁止されるのは 6 通りです(0-8、0-9、1-9 と、その逆の 3 通り)。鍵を刻み 1 つずつ組み立て、許される組だけを残していくと、刻み 5 つの鍵は 10万通りのうち 79,666 通りになります。つまりカッターの形だけで、組み合わせのおよそ 5 つに 1 つが使えなくなります。6 本ピンのシリンダーで同じように数えると、100万通りのうち 753,754 通りです。
モデルと本物の錠の違い
本物のシリンダーには、モデルが省いている部分があります。本物の内筒の鍵穴は、ウォードと呼ばれる出っ張りのある曲がりくねった断面で、形の合う鍵の素材(ブランクキー)しか通りません。モデルの鍵穴はただの溝です。マスターキー方式の錠では、いくつかの列に小さなピンが 1 本余分に入っていて、2 本の違う鍵のどちらでも継ぎ目をシアラインにそろえられるようになっています。5 本ではなく 6 本のピンを持つシリンダーも多くあります。
モデルの内筒とピンの直径は一般的な寸法に近いものの、公開された図面から取った値ではありません。また、モデルではすべてのずれがシアラインから 0.06 mm 以内に入れば内筒が回るようにしています。このしきい値はモデルの設定で、メーカーの数値ではありません。実際の限界は、ピンと穴のすき間、内筒と外筒のすき間で決まります。
このページでは、錠がどうやって鍵を見分けるかを説明しています。鍵を使わずに錠を開ける方法は扱いません。
ピンタンブラー錠の起源
イェールのシリンダーは、可動ピンでボルトや回転部品を止める古い発想を現代化したものです。父と子は別々の段階に貢献しました。以下の木製錠との比較では、機構、特許の日付、博物館復元品の製作年を区別します。
すき間、摩擦、防犯ピン
図では穴が完全にそろって見えます。しかし実物には、ピンが滑り、内筒が回るためのすき間が必要です。穴あけ、仕上げ、摩耗、汚れが接触状態を変えます。設計上は同じ位置でも、実際の中心と直径にはわずかな差があります。回転方向の荷重を受けると、あるピンがほかより先に穴の縁に接触します。荷重は均等には分担されません。
穴の側面に押されたピンには、自由に滑るピンとは違う摩擦が働きます。ばねの力だけでは動きを説明できません。この接触順序は防犯性能に関係しますが、工具の使い方や開錠の手順を示さずに原理を説明できます。Blazeの研究も、錠を障壁であると同時に情報を表す機構として扱っています。
スプール型のドライバーピンは中央が細く、両端が太い形です。細い部分がシアラインに来ると、内筒が少し動いても太い端が完全な回転を妨げる場合があります。セレーション型には溝があり、接触する縁を増やします。これらは機械的な反応を読み取りにくくする形ですが、正しい鍵が本来のピン境界を置く高さは変えません。あらゆる攻撃を防ぐ保証でもなく、周囲の形状、公差、別の保護構造にも左右されます。
画面のドライバーピンは普通の円柱です。モデルは縦方向の差だけを計算し、摩擦、弾性変形、ピンが接触する順序は計算しません。赤い表示は位置による回転阻止であり、実物で最初に接触するピンの予測ではありません。許容差0.06 mmも展示用の数値規則で、防犯試験値ではありません。このアニメーションから製品の認証等級は決められません。
精密さとともに、繰り返し使用や想定環境への対応も必要です。摩耗した鍵は止めの肩や刻みが傷むことがあり、扉がデッドボルトに余計な荷重をかけることもあります。回しにくいだけで鍵違いとは断定できません。メーカーや資格のある専門業者に点検を依頼し、引っかかった鍵を無理に回さないでください。
マスターキーが組合せを変える仕組み
一般的なマスターキー構造では、キーピンとドライバーの間に短いマスターピンを追加します。境界が増えるため、複数の持ち上げ高さでいずれかの境界をシアラインに合わせられます。部屋の鍵は一室だけ、管理鍵は多数の部屋を開ける代わりに、機械の受け入れ条件を意図的に広げます。
5組のピンがそれぞれ異なる2つの高さを受け入れ、全選択が独立で機械的にも有効と仮定します。受け入れる配列は2⁵ = 32通りで、配布した2本の鍵だけではありません。すべてのシステムの数ではなく計算例です。実際の設計では深さや組合せを予約し、MACSやキーウェイ形状にも従います。計算上の配列でも加工できないものがあります。配布済みの鍵の一覧と、機構が受け入れる全配列は同じとは限りません。
マスターピンを追加しても独立した部屋を無条件に増やせるわけではありません。開錠関係が増えるので、別室の鍵による意図しない相互開錠を避ける必要があります。管理用の深さを予約し、グループを分けるため、安全な割当数は任意の数字列より小さくなります。
Matt Blazeは2003年のIEEE Security & Privacyでこれを権限拡大の問題として調べました。一部への正当なアクセスが、許可範囲を超えて役立つ情報を漏らしうるという問題です。加工不良だけでなく、組み込んだ権限構造からも生じます。ここでは論文の攻撃手順を再現しません。所有者に必要なのは、マスターキー計画を記録と配布管理の要る防犯設計として扱うことです。
先ほどの79,666は、隣接深さ規則を満たす5桁配列だけの数です。相互に独立したマスターキーシリンダーをそれだけ販売できる保証でも、建物に侵入できる確率でもありません。キーウェイ、実際の配列割当、追加保護、扉全体を別途評価する必要があります。
シリンダー規格の読み方
EN 1303は建築用錠のシリンダーと元の鍵を対象とし、耐久性、強度、腐食、鍵関連の防犯性能を試験と分類で区別します。版と各項目を知らなければ分類は解釈できません。DINの目録では2015年版をDIN EN 1303:2026-08が置き換えたとしています。古い証明書は記載された製品と版についての証拠であり、新版の試験結果ではありません。
ANSI/BHMA A156.5はシリンダーと入力装置を扱い、作動と強度の要求を区別します。等級はピン数でも絶対に開かない保証でもありません。ANSI/BHMA A156.30は高防犯シリンダーを別途扱います。公開範囲説明では防犯レベルと等級を区別し、組立体は最も低い構成部品の等級になるとしています。優れたシリンダーを付けても弱い錠ケースが自動的に強くなるわけではありません。
多数回の作動、特定攻撃への抵抗、腐食環境への適性は別の性質です。取り付けによってシリンダーが保護金具から突出したり、枠のほうが弱かったりします。試験室条件は比較を可能にしますが、全設置例や保守履歴を再現しません。
正確な製品名、規格と版、分類、試験または認証の根拠を確認します。「防犯ピン」は部品の特徴で、証明書ではありません。理論上の組合せ数も別の性質です。このモデルにENやBHMAの分類はありません。
木の錠とイェールのシリンダー
木の錠では、ピンが滑りボルトの穴に落ち、鍵がそれを持ち上げます。現代のシリンダーでは上げすぎても境界をふさいで回転を妨げます。分割したピンが、上下両方向について正しい高さを要求します。
博物館資料の年代には注意が必要です。Science Museum Groupの「Ancient Egyptian lock」は1912年ごろの復元品と記載されています。復元品の製作年は古代の発明年ではありません。MITのLemelson解説は約4,000年前のエジプトの大型木製錠を紹介しますが、個々の現存品の正確な年代や単一の伝来経路を証明するものではありません。
1848年のLinus Yale Sr.の仕事と1861年のLinus Yale Jr.のシリンダー特許は現代型の発展に属し、人類初のピン利用という意味ではありません。1861年1月29日の特許は当時の請求内容を示す一次資料です。その後の小さく平たい刻み鍵は日常の扉に使える大きさを実現しました。伝記、特許、復元品は別々の歴史的疑問に答えます。
画面で確かめること
「正しい鍵」で、色の付いたピン上端ではなく境界を追ってください。全境界がシアラインに来る必要があります。「違う鍵」と「1 か所だけ深い鍵」を比べると、ほかが同じでも一か所の障害で回りません。上向きの力の合計ではなく位置を検査しています。
「自分で削る鍵」を3-7-2-6-4にすると、正しい鍵の高さを再現します。3番目だけ2から3に変えると、遠目にはほぼ同じでも差は0.381 mm変化します。遠近表示で分かりにくい差を数値で確認できます。
別に0-9-2-6-4を設定して「MACS 7 超え」を見ます。初めの刻みを有効な配列と比較してください。秘密の鍵を発見したのではなく、刻み同士が幾何学的に干渉しています。「正しい鍵」に戻して回し、カムからボルトまで追います。鍵を判別するシリンダーと扉を保持するボルトの仕事は別です。用意された仮想鍵の観察であり、実物を操作して開ける手順ではありません。
よくある質問
シアラインとは何ですか。
回る内筒と、回らない外筒の境目のことです。それぞれの下ピンとその上の上ピンの継ぎ目がちょうどこの境目にそろい、どのピンも一方の部品からもう一方へまたがらなくなったとき、錠が開きます。
なぜピンの長さがそれぞれ違うのですか。
下ピンの長さは、それぞれの刻みの底からシアラインまでの距離と同じだからです。シュラーゲの鍵では、ルート深さとピンの長さを足すといつも 0.500 in になるので、刻みが 0.015 in 深ければピンは 0.015 in 長くなります。
ピン 5 本、深さ 10 段では、何通りの鍵が作れますか。
理屈の上では 10⁵ = 10万通りです。MACS 7 の規則で、0 のとなりに 8 か 9、または 1 のとなりに 9 がある鍵を除くと、79,666 通りが残ります。マスターキー方式にするとさらに減ります。シュラーゲはフルサイズのシリンダーについて、2 段ステップでマスターキー方式にした場合、鍵穴の断面 1 種類あたりの理論上の組み合わせを 4,096 通りとしています。
刻みが 1 段だけずれるとどうなりますか。
その位置のピンが 0.381 mm 高すぎるか低すぎる状態になります。これは削りの公差 0.051 mm よりはるかに大きく、ピンがシアラインをまたぐのに十分な差です。モデルでも、刻みが 1 か所だけ 1 段深い鍵は回りません。
なぜ鍵を元の位置に戻さないと抜けないのですか。
内筒が回っているあいだ、下ピンの上端は外筒の内側の詰まった部分に押し当てられています。そのためピンは持ち上がれず、鍵の斜面がピンの下をすべり抜けられません。最初の位置に戻すと穴がまたそろい、ピンが持ち上がれるようになります。
マスターキーとは何ですか。
マスターキー方式の錠では、いくつかのピンの列の下ピンと上ピンのあいだに、短いピンが 1 本余分に入っています。これでその列には継ぎ目の位置が 2 か所でき、鍵ごとに一つずつ使えるので、住人の鍵でも建物の管理者の鍵でも継ぎ目をシアラインにそろえられます。
鍵を差し込むとき、なぜカチカチ音がするのですか。
下ピンの丸い先が刻みに落ち込み、刻みのあいだの斜面でまた押し上げられるからです。落ちるたびに、ばねで押されたピンが金属を小さくたたきます。
防犯ピンがあれば鍵なしでは絶対に開きませんか。
いいえ。機械的な反応を読み取りにくくしますが、すべての弱点をなくすわけではありません。試験、取り付け、扉全体も重要です。普通のドライバーを使うこのモデルは攻撃への抵抗を測りません。
理論上の鍵の数は防犯等級ですか。
いいえ。組合せ数は条件に合う配列を数えたものです。等級は特定の規格と版に基づく試験結果を示します。異なる性質です。
回しにくい鍵は必ず刻み違いですか。
いいえ。摩耗、汚れ、扉からの荷重も原因になります。無理に回さず、メーカーや資格のある専門業者に相談してください。
ディンプルキーはピッキングされにくいのですか。
ピンの数や向きが増えるほど、工具で一本ずつ合わせる作業は難しくなります。ただし性能は製品ごとに違います。目安になるのは、侵入に5分以上耐えることを試験で確かめた CP 部品かどうかです。鍵がディンプルでも、CP マークのない製品の性能は分かりません。
八つの構造と八通りのすき間の条件
この図鑑では色だけでなく機構そのものが変わります。元のピンシリンダーを寸法の基準とし、残る七つの断面は模式モデルです。長さ、コード、角度の段階、すき間は、市販品から写した値ではなく、見やすさのために選んであります。組み上がった錠では内部の動きが隠れるため、各断面の外筒を大きく開いています。構造の選択欄と図鑑のカードは同じ場面につながります。歴史上のカードを選ぶと関連する原理が表示されますが、その形状がカードに記載された博物館資料を復元するという意味ではありません。特に Bramah のカードはレバーの場面との比較であり、スライダー錠の復元ではありません。似た鍵でも内部機構が大きく異なるため、この区別が重要です。
ディスクタンブラーでは、上下するピンの継ぎ目の代わりに、独立して回転する部品を使います。各ディスクには決まった角度に溝があります。溝がそろうとサイドバーの連続した通路ができ、バーが固定外筒から離れて回転部が動けるようになります。教材の断面では、違う鍵を使うと一枚のディスクが目に見えてずれます。誤差はミリメートルで測る上下の距離ではなく角度です。ABLOY は Emil Henriksson が 1907 年に回転ディスクの原理を開発し、1919 年に特許取得と工業生産が続いたと説明しています。この年は同社の歴史についてのもので、すべてのディスク機構の起源を示すものではありません。ここでの五枚の配置は単純化した例です。現行製品のコード体系、ディスク数、防犯等級は推測できません。
ウェハーシリンダーは薄い可動板を使います。鍵が各板の開口部を通り、内筒の外形に対する位置を決めます。板がその外形から突き出していると固定外筒にかかり、回転できません。正しく位置を合わせると、妨げる縁が回転範囲に収まります。公開特許 US20060032280A1 はこの基本原理と、サイドバーを使う改良例を記載しています。展示は板のすき間の基本だけを示し、特許の追加機能すべては再現しません。モデルがウェハー錠であることと、特許がさらに複雑なウェハー錠を示すことは両立します。鍵の刻みが片側か両側かで判断するより、何が実際に動きを止めるかを見るほうが役立ちます。
レバー錠では別の幾何学的条件を調べます。鍵が支点の周りにレバーを持ち上げ、かんぬきに付いたフェンスが溝を通る必要があります。溝が高すぎても低すぎてもフェンスが金属に当たり、かんぬきは止まります。出力は回転するシリンダーではなく、直線運動するかんぬきにもなります。そのため、解放を示すためにピンシリンダーの四分の一回転をまねる必要はありません。溝をそろえる動きとかんぬきの移動は別です。レバーの位置と間隔は教材上の選択で、Chubb の検知錠の実測値ではありません。1818 年の Chubb の例には干渉を検知する仕組みがありますが、この場面は通常の開錠を許す溝の条件だけを示します。
ウォード錠は可動の符号部品の列ではなく、固定された障害物を使います。鍵の先端の溝とすき間が障害物を避け、かんぬきの機構まで届きます。Smithsonian Cooper-Hewitt の収蔵品図録は、鍵の形と内部機構の関係を含む歴史的背景を示します。モデルでは固定ウォードを大きくし、障害物を避ける刻みと、可動タンブラーを位置決めする刻みを区別できるようにしました。装飾的で複雑な外形が、そのまま多数の独立したコードの選択肢になるわけではありません。固定障害物、可動レバー、分割ピンに同じ式は使えません。この場面は適合と回転の阻止を示しますが、あらゆるウォード錠の鍵数は示しません。
チューブラーの場面では、ピンの継ぎ目を円形の鍵穴の周りに並べ直します。鍵は中空で、その縁の刻みが軸方向のピンに接します。US7150168B1 は、違う鍵を使うとピンが固定側と回転側の座をまたいだままになる機構を記載しています。おなじみのシリンダーと同じ阻止条件を、別方向から見ています。円形の配置だけでは、ピン数、コードの容量、攻撃への抵抗性能は決まりません。元の五本ピンと比較しやすいよう、ここも五組です。特許固有の配置は実際の図面を参照してください。この場面の軸方向の距離はモデルの値で、鍵の製作用寸法ではありません。
ディンプルの場面では、鍵の広い面を読み取ります。すべてのピンが刻みのある縁の上に立つのではなく、側方から接することができます。くぼみがピンの位置を決め、くぼみが違うと継ぎ目が回転に必要な境界から外れます。US20100199731A1 は両面のくぼみと回転ピンを備える、より複雑なシリンダーを記載しています。展示ではねじり機能と関連する軌道を意図的に省き、くぼみとすき間の関係だけを示します。ディンプルという語は鍵の見た目であり、共通する唯一の内部設計ではないためです。単純な機構にも追加条件のある機構にも使えます。見えるくぼみの数だけでは、製品全体が確認する独立条件の数は分かりません。
マスターキーの場面では、ピンの組に短い中間部品を加えます。個別鍵では一方の継ぎ目が回転の境界に合います。マスターキーでは全体の上がり方が違っても、もう一方の継ぎ目が同じ境界に合います。外筒を変えずに二つの高さの配列を受け入れます。追加部品は二本目のばねではありません。実製品では、ピンの長さ、許される段階、鍵体系の規則を合わせて設計する必要があります。二つの継ぎ目を見やすくするため、有効な配列は単純にしてあります。建物のマスターキー体系の設計を勧めるものでも、特定メーカーの階層を示すものでもありません。
日本の玄関で見るディンプルキーとピンシリンダー
ディンプルキーは、刻みのある縁の代わりに、鍵の平たい面に丸いくぼみが並ぶ鍵です。中の仕組みは、この展示の主役と同じピンタンブラーです。ばねに押されたピンがくぼみの深さで持ち上がり、すべての継ぎ目が内筒と外筒の境界にそろったときだけ内筒が回ります。違うのはピンの向きと数です。美和ロックは JN シリンダーを「4方向から多数のピンタンブラーを備えた高性能ピンシリンダー」と説明し、理論鍵違い数を約172億通り、鍵をリバーシブルとしています。
こうした鍵が求められる背景には、ピッキングがあります。政府広報オンラインは警察庁の資料をもとに、ピッキング手口に対応していない錠は1分も掛からず開けられてしまうと説明しています。そこで、侵入のための破壊行為に5分以上耐えることを試験で確かめた製品が「防犯性能の高い建物部品(CP部品)」として目録に載り、CPマークを付けられます。美和ロックによると、この試験基準は平成15年10月に決まり、目録は平成16年4月1日に警察庁から公表されました。錠とシリンダーの試験には、耐ピッキング、耐インプレッション、ドリリング、シリンダーのもぎ取りなどの項目があります。
ただし、鍵の見た目がディンプルだというだけでは CP 部品かどうかは分かりません。製品名と CP マークで確かめます。政府広報オンラインも、CP 部品は侵入を完全に防ぐものではないと書いています。この展示のディンプルの場面は原理を示すモデルで、CP の試験は受けていません。
接触順は製造公差のモデル
図面では穴が完全な一直線に並びますが、実際の組立品には穴位置、表面仕上げ、はめ合いの小さな差があります。回転荷重の下では、その差によって一つの部品が先に周囲へ接触することがあります。接触順の場面ではずれを拡大して順序を見せます。表示値 0.03、0.05、0.02、0.06、0.04 は無次元の教材値で、錠の測定値ではありません。残ったずれが最小の部品から接触します。単に左から順に接触するのではなく、ずれを変えると順序も変わります。荷重と次の接触の操作は、実際の工具寸法、力、作業手順を示さずにこの関係を説明します。小さな腕と探針は荷重と変位の記号であり、使用可能な工具の図面ではありません。
スプール形の上ピンには、太い両端の間に細いくびれがあります。溝付きの上ピンには長手方向に複数の溝があります。境界近くが単純な円柱でなくなると、荷重の下で別の場所にも接触が生じます。同じ変位でも、触れる面によって抵抗が変わることがあります。これは形が機械的な手応えを変える理由の定性的説明であり、摩擦、弾性変形、攻撃の成功を再現するものではありません。比較欄では元の鍵の判定を保ったまま、上ピンを三種類の形に置き換えます。防犯点数は計算しません。複雑なピンを選んでも、製品の認証、侵入を遅らせる時間、特定の扉への適性は判断できません。
衝撃の場面では、衝突する質量が運動量を交換して一瞬離れるという別の考え方を扱います。短い衝撃は動きを生んでも、回転を続けるための形を維持するとは限りません。アニメーションでは離れる動きを拡大し、元の位置に戻します。弾性接触、正確な衝撃エネルギー、ばねの減衰、材料の硬さ、タイミングは計算しません。そのため実際のシリンダーの反応は予測できません。ここで考えるのは、一瞬のすき間と開いた状態の持続が同じではない理由です。鍵の加工や錠への打撃の手順ではありません。防犯については理想化した動画ではなく、メーカーの試験結果と関連規格を使って判断してください。
隣接制約のある配列を数える
位置が n か所、深さが d 通りなら、独立な選択で d の n 乗通りになります。重要なのは独立という仮定です。隣り合う深さの差を m 段以下にすると、どの深さの後にも任意の深さを置けるわけではありません。実験では最後の深さ別に配列数を保持します。最初はどの深さにも一位置の配列が一つあります。深さ j を加えるとき、最後の深さ i と j の差の絶対値が m 以下の以前の個数を足します。n か所が埋まるまで繰り返し、最後の行を足すと制約付き総数になります。これは配列数で、メーカーが販売を約束した実物の鍵の数ではありません。
表示する Schlage の例では、五位置、十段階で無制約なら 100,000 通りです。MACS 7 では漸化式から 79,666 通りになります。MACS 0 なら同じ深さしか続けられず、位置を何か所増やしても一定の深さの十配列だけです。この極端な場合は計算の確認に使えます。小さい系では全配列を列挙し、隣接規則に反するものを除く方法でも確認できます。展示の検証例では列挙と漸化式が一致し、無作為抽出は不要です。ただし、鍵穴の制約、予約コード、摩耗の余裕、メーカーの体系全体を含まないため、使える鍵数を過大に見積もる場合があります。
継ぎ目を加えると別の数え方が生じます。独立した k 組のピンがそれぞれ二つの高さで境界を空けるなら、直積は最大で二の k 乗通りです。五組なら単純化したモデルで最大 32 配列になります。隣接規則で除かれる配列や、使用できる鍵に対応しない配列もありえます。Matt Blaze の研究は、意図した個別鍵とマスターキーだけでなく、意図しない組み合わせも考える重要性を示しています。この上限は許可された人の数でも建物のシリンダー数でもありません。一つの正規鍵が多くのシリンダーを開ける一方、受け入れられる配列でも鍵として発行されていないものがあります。
歴史上の主張と現代の入退室管理
エジプトの木製ピン錠の復元は、かんぬきの通路から障害物を持ち上げる古い考え方を示します。特定の古代の扉から残った品を実測したものとは解釈しないでください。1861 年と 1865 年の Yale 特許は後世の機構を記録しており、一次資料の図面として参照できます。Bramah は 1784 年に、単純なレバー錠とは違うスライダー原理で錠の事業に入りました。Linda Hall Library は歴史的な図を用い、Bramah と 1818 年の Chubb 検知錠を説明しています。これらは別々の発展で、新しい機構が旧来のすべてを消した一本道の歴史ではありません。費用、製造能力、用途が異なるため、複数の原理が並行して使われます。
電子式の入退室管理は、認証情報の読取装置と制御装置によって機械的判定を置き換えたり補ったりします。許可の表現方法と取り消し方は変わりますが、かんぬきなどの物理的な拘束は依然として動かす必要があります。八つの機械的な場面は電子回路、通信、電池、非常解放を再現しません。取り付けと周囲の材料が結果を左右する扉全体の比較でもありません。目的は、何が動きを止め、どのすき間が動きを許すかを見分け、鍵の動きと出力の動きを区別することです。美しい断面を試験や認証報告と混同せずに比較できます。
Bramah の錠はレバーの場面と同じですか?
いいえ。Bramah のスライダー原理は、ここで示す支点付きレバーとフェンスの原理とは異なります。図鑑のカードは関連する比較場面と歴史資料につながり、有名な挑戦用の錠を忠実に復元したものではありません。
円形やディンプルの鍵なら防犯性能が高いのですか?
いいえ。これらは見える形や機構の系統を表す言葉です。装置全体、試験、取り付け、追加の判定条件すべてを指定するものではありません。このモデルは製品の順位付けではありません。
課題を終えれば実際の錠を理解した証明になりますか?
いいえ。課題は単純化した教材での観察と計算を確かめます。実製品には展示で再現しない公差と追加機能があります。歴史上の例や特許も特定の物を記述しており、似た鍵を使う全製品の説明ではありません。
用語
- 内筒: 錠の中で鍵と一緒に回る円筒。プラグとも呼びます。
- 外筒: 内筒のまわりの動かない本体。シェルとも呼びます。
- 下ピン: 各列の下側のピンで、鍵の上に乗るもの。
- 上ピン: 各列の上側のピンで、ばねで下へ押されるもの。
- シアライン: 内筒と外筒の境目。
- キーカット: 鍵の刻みを深さの並びで書いたもの。たとえば 3-7-2-6-4。
- ルート深さ: 刃の下の縁から測った、刻みの底の高さ。
- MACS: maximum adjacent cut specification。となり合う刻みの深さの差として許される最大値。
- カム: 内筒の後ろにあって一緒に回り、かんぬきを動かす部品。
参考資料
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