図 76しくみ館

エレベーターのしくみを動かして体験:かごと釣り合い錘

人を満載したエレベーターのかごは 2 トン近くになりますが、ロープの反対側につり合おもりが下がっているので、モーターが実際に持ち上げるのはその 4 分の 1 ほどです。

エレベーターのしくみを動かして体験:かごと釣り合い錘
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1 / 10 断面で見るエレベーター停止階が 6 つある乗用エレベーターを前から切って開いています。かごはコンクリートの昇降路の中をレールに沿って走り、その横につり合おもり、てっぺんの機械室に巻上機があります。階高は 3 m なので、かごは最下階から最上階まで 15 m を移動します。

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このモデルでわかること

1 階でエレベーターに乗って 6 を押すと、10 秒ほどで 15 m 上の階で戸が開きます。どうやって上がったのか、かごの中には何の手がかりもありません。ウインチの音もしなければ、ロープが張る感じもなく、一人で乗っても十二人と詰め込まれて乗っても乗り心地はほとんど変わりません。この展示は昇降路を開いて、その理由を見せます。

モデルはよくある大きさの乗用ロープ式(トラクション式)エレベーターです。停止階は 3 m おきに 6 つ、かごは 1,000 kg で 1,000 kg まで載せられ、横につり合おもり、昇降路の上の機械室にギアレス巻上機があります。どこかのメーカーのカタログを写したものではありません。質量と寸法はどれもモデル値で、ふつうの範囲に収まり、計算を追いやすいように選んでいます。かごには乗客を 13 人まで乗せられ(1 人 75 kg で数えます)、舞台右側の呼びボタンを押したり、戸を開けたままにしたり、定格速度を上げたり、ロープを切ったりできます。そのたびに隅の表示がトルク、1 回の運転の仕事、安全装置の数値を計算し直します。

ロープをドラムに巻き取らない理由

箱を持ち上げるいちばん素直な方法は、ロープを結んでドラムに巻き取ることです。初期の荷物用昇降機はまさにそうしていましたし、小さな巻胴式の機械はいまもあります。困るのは、ドラムがロープ全長を収めなければならず、モーターが毎回かごと荷物の重さを丸ごと持ち上げなければならないことです。

ロープ式エレベーターは違うやり方をとります。ロープの一端はかごに、もう一端はつり合おもりに固定され、そのあいだは綱車と呼ぶ溝付きの車に掛かっているだけです。何も巻き取りません。モーターが綱車を回すと溝の摩擦がロープを送り、かごが一方へ、つり合おもりが反対へ同じ距離だけ動きます。モデルの綱車は直径 640 mm で、5 本のロープが溝に並んでいます。隣の小さなそらせ車がロープの間隔を広げ、つり合おもりが巻上機の真下ではなくかごの横に下がれるようにしています。

かごが動いているあいだ、2 つの車の赤い印を見てください。どちらもロープの移動量を自分の半径で割った分だけ回るので、小さなそらせ車のほうが大きな綱車より速く回ります。

つり合おもりはかごと荷重の半分ほどを受け持つ

最初に押さえる数字はこれです。モデルのつり合おもりは 1,450 kg で、空のかご(1,000 kg)に定格積載量(1,000 kg)の 45% を足した値です。ロープ式エレベーターについて公表された説明も同じ決まりを示しています。つり合おもりはふつう、かごの重さに積載量の 40 から 50% を足した重さにします。

満員のかごとそろえないのはなぜでしょう。エレベーターが満員になることはめったにないからです。つり合おもりを満員のかごと同じにすると、モーターは空のかごを、余分な 1,000 kg のおもりに逆らって引き上げることになります。そしてラッシュ時以外は、空のかごがいちばんよくある状態です。中間をとることで、乗客 6 人(450 kg)のときにかご側とつり合おもり側が等しくなり、どちら向きにも不つり合いが大きくなりすぎません。

「乗客数」のスライダーを 6 にして表示を見てください。「かご側 − おもり側」はゼロです。この状態ではモーターは摩擦に勝って質量を加速するだけで済みます。残りはすべて、ロープの反対側にかかる重力がつり合わせています。

トルクとエネルギーを確かめる

一定の速さで動くときモーターが出すトルクは、不つり合いの質量に g と綱車の半径を掛けたものです。

T = (m_car + m_load − m_cw) × g × r

乗客 13 人ではかご側が 1,000 + 975 = 1,975 kg なので、不つり合いは 1,975 − 1,450 = 525 kg です。r = 0.32 m なら 525 × 9.81 × 0.32 = 1,648 N·m になります。つり合おもりを外すと、モーターは 1,975 kg をまるごと支えなければなりません。1,975 × 9.81 × 0.32 = 6,200 N·m です。荷重の全範囲で見た最悪の場合は、つり合おもりがない場合の約 27% まで下がります。

乗客 かご側 不つり合い おもりありのトルク なし
0 1,000 kg −450 kg −1,413 N·m 3,139 N·m
3 1,225 kg −225 kg −706 N·m 3,846 N·m
6 1,450 kg 0 kg 0 N·m 4,552 N·m
9 1,675 kg +225 kg +706 N·m 5,258 N·m
13 1,975 kg +525 kg +1,648 N·m 6,200 N·m

マイナスの符号に注目してください。かごが空だとつり合おもり側が重いので、上昇するときモーターはかごを引くのではなく、引き止めなければなりません。表示のグラフでは、赤い線が乗客 6 人のところでゼロを横切り、灰色の線(おもりなし)はずっと上にあります。

エネルギーも同じ形になります。つり合おもりがあれば、満員のかごを 1 階から 6 階(15 m)まで上げるのに 525 × 9.81 × 15 = 77 kJ かかります。なければ 1,975 × 9.81 × 15 = 291 kJ で、4 倍近くです。乗客 0 人から 13 人までのすべての荷重で平均すると差はもっと大きく、1 回の運転でおもりありが約 39 kJ、なしが 219 kJ です。つり合おもり側が重いときモーターはブレーキとして働き、最近の電力回生型の駆動装置なら、そのエネルギーの一部を熱にせず建物へ戻せます。

綱車がロープをつかめるわけ

綱車が働くのは、ロープの両端が綱車を引いているからです。曲がった面の摩擦は張力の差を支えられますが、その比には上限があり、摩擦係数と巻き付け角に対して指数関数的に増えます。船乗りが係船柱にロープを何回か巻き付けるのも同じ効果です。

モデルでは両側の張力比が、空のかごで 1.45、つり合ったとき 1.00、乗客 13 人で 1.36 です。どれも余裕のある数字です。つり合おもりがなければ綱車の反対側には何もなく、トラクション駆動はそもそも成り立ちません。つまりつり合おもりには 2 つの役目があります。モーターの仕事を減らすことと、綱車にロープをつかむ相手を与えることです。英国の昇降機規則は 2 つ目を一文で書いています。摩擦車で駆動する昇降機は、車の上で主索が安定するように設計しなければならない、と。

かごが次に止まる階を決めるしくみ

呼びボタンをいくつか押しても、かごは押した順には応えません。単独のエレベーターの多くが何らかの形で使っている、簡単にした乗合全自動方式に従います。

  1. 進行方向の先に呼びが残っているあいだは、その向きに進み続ける。
  2. 途中では、かご内で押された階と、同じ向きの乗場呼びに止まる。
  3. 先に残っているのが逆向きの呼びだけなら、そのうちいちばん遠い階まで行ってから向きを変える。
  4. 先に何も残っていなければ、向きを変えるか、戸を閉めて待つ。

ツアーでは典型的な場面を用意しています。かごは 1 階にいます。かごの中で 5 と 2 が押され、3 階には上へ、4 階には下へ行きたい人がいます。かごは上りの途中で 2 階、3 階、5 階に止まり、それから 4 階まで下りてきます。4 階の人は少し長く待ちますが、逆向きに運ばれる人は一人もいません。ハードディスクもかつて同じ規則で読み取りヘッドを動かしていて、コンピューター科学ではいまもエレベーターアルゴリズムと呼ばれています。

表示には「次」のあとに止まる予定の階が並び、ボタンを押すとすぐに変わります。近すぎて 1 m/s² で穏やかに止まれない呼びは、帰りの運転に回されます。

エレベーターを何台も並べた高層ビルでは、もっと込み入った方法を使います。行先階予約システムでは、乗る前に行き先の階を入力し、近い階へ行く人を同じかごにまとめます。

かごが動く前に戸を施錠する

空っぽの昇降路に向かって乗場戸が開いてしまうこと、それがインターロックが防ぐ危険です。モデルの乗場戸には、どれも戸の上に施錠装置があります。戸が閉まると掛け金が下りてスイッチが閉じ、施錠装置の横の小さなランプが緑になります。6 つのスイッチは安全回路に直列につながっているので、どこか 1 か所でも戸が開いていればエレベーター全体が止まります。

欧州の必須要件を引き継いだ英国の昇降機規則は、はっきりこう書いています。施錠装置は、通常の運転において、すべての乗場戸が閉じて施錠されるまでかごの起動を防がなければならず、かごが乗場の区域の外を動いているあいだは乗場戸が開くのを防がなければならない。「戸を開けたままにする」を入れて別の階を押してみてください。かごは動かず、表示が理由を示し、戸を放して施錠したとたんに出発します。

ロープが切れたらどうなるか

人がエレベーターに乗るときに抱く不安はこれで、エレベーターが人を乗せる機械になれた理由もここにあります。モデルではスイッチ 1 つで 5 本のロープをすべて切れます。本物は 0.5 秒ほどで終わってしまうので、落下は実際の 4 分の 1 の速さで見せています。

かかわる部品は 3 つです。調速機は機械室にあります。専用のロープがピットのおもり付き張り車まで下りて輪になり、かごにつかまれているので、かごが動けば調速機も回ります。中の振り子は速度が上がると外へ開きます。モデルでは定格速度の 1.15 倍、つまり 1.75 m/s に対して 2.01 m/s で作動し、つかみ装置が調速機ロープを止めます。かごはまだ一瞬落ち続けるので、止められたロープがかご枠のリンクを引き上げます。リンクは非常止め装置のくさびを各レールの横の狭まるすき間に押し上げ、くさびはかごが止まるまでレールを締め付けます。

計算は短くて済みます。静止から 2.01 m/s になるまで自由落下するので、かかる時間は 2.01 ÷ 9.81 = 0.21 s、距離は 2.01² ÷ (2 × 9.81) = 21 cm です。そのあとモデルの次第ぎき非常止め装置が平均 0.6 g で減速するので、2.01² ÷ (2 × 0.6 × 9.81) = 34 cm で止まります。合わせて約 55 cm です。自由になったつり合おもりは、ピットの緩衝器に落ちます。

規則が求める 3 つのことが、ここで見えます。エレベーターには調速機がなければならない。落ちるかごを止める装置は、かごを吊るロープとは独立していなければならない。そしてその装置は、定格積載量を載せて最高速度で走るかごを、乗客に害のない減速度で止められなければならない。さらに、それぞれ独立に留めたロープを少なくとも 2 本と、ピットの緩衝器も求めています。調速機の正確な作動速度と許される減速度の範囲は、詳しい昇降機の規格で決められています。ここで使った 1.15 と 0.6 g は、よくある範囲のモデル値です。

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高い建物のエレベーターの速さ

速度のスライダーは 21 m/s まであります。日立が広州周大福金融中心のエレベーターについて公表している定格速度で、分速 1,260 m で 1 階から 95 階のホテルロビーまで、440 m を約 42 s で運びます。同じエレベーターの下りは分速 600 m(10 m/s)にすぎません。その前の記録は台北 101 で、2004 年にエレベーターが 16.83 m/s に達しました。ブルジュ・ハリファのダブルデッキエレベーターは最高 10 m/s です。

モデルでスライダーを上げても、ほとんど何も変わらないように見えます。そこが大事な点です。加速度 1 m/s² では、かごが加速して再び減速するのに v² ÷ a メートルが必要です。21 m/s なら 441 m で、広州の全行程より少し長いので、所要時間は約 2 × √440 = 42 s となり、日立の数字と合います。この 15 m の昇降路では、かごは √15 = 3.9 m/s まで上がったところでブレーキをかけなければなりません。速いエレベーターが役に立つのは高い建物だけで、そこでも加速度の乗り心地の限界と耳にかかる気圧の変化が設計の多くを決めています。

本物のエレベーターより簡単にしたところ

  • ロープの重さは入れていません。高い建物ではロープ自体が数百 kg になり、かごが動くと綱車の片側から反対側へ移るので、行程の長いエレベーターではかごとつり合おもりの下に釣合ロープや釣合チェーンを下げます。
  • 摩擦、モーターの損失、質量を加速するエネルギーは無視しています。表示するトルクと仕事は重力の分だけです。
  • 実際の運転曲線は加加速度(加速度の変化の速さ)も抑えているので、動き出しと止まり方はここで使う一定の 1 m/s² より穏やかです。
  • モデルの非常止め装置は一定の 0.6 g でつかみます。本物の次第ぎき非常止め装置は定格積載量に合わせて調整され、減速度はかごの荷重によって変わります。
  • 制御は単純な規則 1 つに従うだけで、戸の再開、荷重検出(本物は過負荷なら出発しません)、消防運転は扱っていません。

短い歴史

エリシャ・オーチスの名と結び付く発明は、エレベーターそのものではなく安全ブレーキです。オーチス・エレベータ社は、彼の安全ブレーキを付けた昇降機が初めて売れた 1853 年 9 月 20 日を創業の日としています。1854 年、ニューヨークの万国産業博覧会(クリスタル・パレス博覧会)で、オーチスは持ち上げた台の上に立ち、吊りロープを切らせました。会社自身の歴史によれば、台は数 cm 下がったところでブレーキに止められ、オーチスは観客に「すべて安全です、皆さん、すべて安全」と告げました。3 年後の 1857 年 3 月 23 日、オーチス初の乗用エレベーターがニューヨークの E. V. ハウワウト・ビルで使われ始めました。オーチスは 1861 年 1 月に特許を得て、数か月後に亡くなりました。

その後、速度は上がり続けました。日立によれば、1968 年に東京の霞が関ビルディングに納めたエレベーターは分速 300 m で、当時は日本一の速さでした。広州のエレベーターはその 4 倍を超えます。

数値の確かめ方

舞台の数値はすべて、一組の数式から来ています。同じ数式を手計算でも解き、結果が合うことを確かめました。対象は次のとおりです。つり合おもり、乗客 6 人でのつり合い点、乗客 0 人と 13 人でのおもりありとなしのトルクと仕事、ロープの張力比、運転時間、440.4 m に対する日立の 42 s、自由落下距離と停止距離、それに乗合全自動方式の呼びの並び 5 通りです。54 項目すべてが手計算と合います。

出力と1回の運転に必要なエネルギーは別です

モーターを選ぶときは、1回の運転に必要なエネルギーに加え、どれほど速く仕事をする必要があるかも考えます。つり合いおもりなしで1,000 kgを一定の3 m/sで持ち上げると仮定します。これは計算のための条件で、画面のかごの積載量や速度そのものではありません。重力による下向きの力は9,810 Nです。力に速度を掛けると機械出力は29,430 W、つまり29.43 kWになります。この質量を15 m持ち上げる仕事は147,150 J、約147 kJです。等速区間を速く走っても遅く走っても、重力に逆らってする仕事は変わりません。速度を上げると必要な出力は増えますが、この重力によるエネルギーの変化は同じです。

モデルの実際の質量を使うとどうなるでしょうか。乗客13人では、等速時の重力に関する出力に効くのは525 kgの質量差です。3 m/sでは約15.45 kW、初期設定の1.75 m/sでは約9.01 kWが必要です。いずれも理想的な15 mの運転でモーターと両側の重りの間を移るエネルギーは77.25 kJです。仕事の表示と同じく、加速や損失は含みません。モーターの推奨定格でも電力計の測定値でもありません。

計算例としてのみ、等速で持ち上げている間の電気入力から機械出力への変換効率を80%と仮定します。綱車に15.45 kWを供給するには、電源から約19.31 kWを受け取る必要があります。この効率は展示で測定したものではありません。建物の年間消費電力量にはドアの開閉、照明、待機中の消費も含まれます。乗客は相乗りし、積載量も変わるため、1回の理想的な運転エネルギーに1日の乗客数を掛けても求められません。

つり合っても慣性は残ります

乗客6人では、かご側とつり合いおもり側の質量はそれぞれ1,450 kgです。綱車に働く重力の効果は打ち消し合いますが、質量が消えるわけではありません。かごが上向きに加速すると、おもりは下向きに加速します。どちらも運動エネルギーが増えるので、静止状態の質量差がゼロでも、モーターは合計2,900 kgを加速しなければなりません。

ロープの質量と回転慣性を省き、1 m/s²で加速する理想計算では、追加の駆動力は2,900 Nです。モデルの綱車半径0.32 mを掛けると、加速トルクは928 N·mになります。これは重力トルクに加わる分です。今回のようにつり合っている場合に限り、重力トルクはゼロになります。同じ装置が1.75 m/sに達すると、並進する両側の質量の運動エネルギーは合計約4.44 kJです。減速時にはこれを再び取り除く必要があります。実機では回転子や綱車も加速させ、駆動装置の電流や温度の限界も守ります。

したがって、つり合い点でトルクがゼロと表示されても、モーターが不要という意味ではありません。ゼロなのは等速時の重力トルクです。モデルでは、この簡単な比較を運動の計算から意図的に分けています。乗客数を変えるとトルク表示は変化しますが、指定された加速度を出すのにモーターが苦労する様子までは再現しません。実際のエレベーターでは、ロープのトラクション条件、利用できるモータートルク、許容される乗り心地の運動曲線を合わせて確認します。

巻上機のブレーキと非常止め装置の役割

通常運転では、駆動装置が到着前にかごを減速し、巻上機のブレーキが停止した機器を保持します。調速機と非常止め装置が扱うのは、かごが速すぎるという別の故障です。調速機は専用のロープで動きを検出し、非常止め装置はガイドレールに作用します。英国の昇降機規則は、自由落下を防ぐ装置がかごのつり下げ手段から独立していることを求めています。つりロープがすべて切れた後では、綱車だけに働くブレーキではその役割を果たせません。

レールをつかむ動作は、最寄り階に止まる指令ではなく、乗客が普通に使う操作でもありません。かごが階の間に停止すれば、適切な能力を持つ担当者による管理された救出が引き続き必要な場合があります。ピットの緩衝器は行程の端で別の保護を担いますが、調速機や非常止め装置の代わりにはなりません。役割を分けることで、一つの故障がすべての停止手段を同時に失わせないようにします。

画面のロープ切断スイッチは、この流れを見せるためにつりロープ5本を同時になくします。事故の発生確率を推定する機能ではありません。同じく55 cmという停止距離は、初期の運動状態、作動速度、仮定した制動減速度を含むモデル条件での結果です。どの設備にも保証される安全距離ではありません。展示の計算を使って実機の安全装置を検査、調整、試験してはいけません。

画面で比較する

乗客数を0、定格速度を初期値の1.75 m/sにして、1階から6階を呼びます。質量差が負なのは、空のかごがつり合いおもりより軽いためです。乗客を6人、次に13人に変えて同じ運転を比較します。表示はゼロを通って正になりますが、かごはどの場合も指令どおり上昇します。符号が表すのは重力に関するモーターの働きの向きであり、乗客が要求した移動方向ではありません。

次に1階から2階と、1階から6階の運転を比べます。距離はそれぞれ3 mと15 mです。加速度を1 m/s²と仮定すると、短い方は約1.73 m/sまで達した時点で減速が必要です。定格速度を21 m/sに上げても、この短区間を21 m/sで定速走行することはできません。長い方でも理想的な三角形の速度波形では最高約3.87 m/sです。スライダーの故障ではなく、使える距離から決まる限界です。

最後にドアを開けたままにする操作を有効にしてから、別の階を要求します。解除すると、インターロックが移動を許す様子が分かります。ロープ切断は別に試し、定格速度を初期値に保つと、前の安全計算と比較できます。二つの操作が示すのは、乗場ドアが施錠されていない状態での出発を防ぐ保護と、過速度のかごを止める保護です。実際のドアや安全装置に手を加えてよいという意味ではありません。

よくある質問

ケーブルが切れたらエレベーターは落ちますか?

ロープ式エレベーターは、互いに独立した何本ものロープで吊られています。安全規則はそれを大きな余裕をもって決めていて、たとえばカリフォルニア州の昇降機安全規則は主索の最低安全率を定め、ロープの速度が上がるほど大きくしています。全部が同時に完全に切れることはまずありません。何かの理由でかごが速くなりすぎれば、調速機が作動し、非常止め装置がレールを締め付けます。モデルでは、ロープが切れた位置から約 55 cm 下でかごが止まります。

エレベーターにつり合おもりがあるのはなぜですか?

かごと、定格積載量のおよそ半分をつり合わせるためです。これでモーターのトルクと 1 回の運転のエネルギーが減り、綱車の両側に張力がかかってロープがつかまれます。モデルでは、最悪の場合のトルクが 6,200 N·m から 1,648 N·m に下がります。

つり合おもりが満員のかごと同じ重さでないのはなぜですか?

エレベーターはたいてい一部が空いた状態で走るからです。荷重の半分ほどに合わせたつり合おもりなら、いちばん多い荷重で不つり合いが小さくなります。そうすると、満員のかごと空のかごが、モーターにほぼ同じ大きさで逆向きの負担をかけることになります。

エレベーターは上りと下りのどちらでエネルギーを多く使いますか?

荷重によります。満員で上るときと空で下るときは、重い側を持ち上げるのでどちらもモーターが働きます。軽いかごで上るときや満員で下るときは重力が仕事をし、モーターはブレーキになります。電力回生型の駆動装置は、そのエネルギーの一部を戻します。

エレベーターがときどき自分の階を通り過ぎるのはなぜですか?

下りボタンを押したのにかごが上りの途中なら、かごはあなたの階を通り過ぎ、帰りに迎えに来ます。乗合全自動方式の規則が働いているのです。近すぎて滑らかに止まれない呼びも、次の運転に回されます。

戸が開いたままでエレベーターは動きますか?

動きません。どの乗場戸にもインターロックのスイッチがあり、すべて閉じて施錠されるまでかごは出発できません。このページで引用した規則は、英国と EU のエレベーターにこれを法的な要件として課しています。

世界でいちばん速いエレベーターはどれですか?

日立は広州周大福金融中心のエレベーターについて、上りの定格速度を分速 1,260 m(21 m/s)と公表しており、2019 年にギネス世界記録に認定されました。440 m を約 42 s で上り、下りは 10 m/s です。

1,000 kgを3 m/sで持ち上げる出力はいくらですか?

損失と加速を除けば29.43 kWです。つり合いおもりのない質量を仮定した計算です。モデルのおもりと乗客13人を使うと質量差は525 kgなので、同じ速度での等速機械出力は約15.45 kWです。

完全につり合えばモーターをなくせますか?

いいえ。乗客6人では重力の効果はつり合いますが、両側の動く質量には慣性が残ります。始動、摩擦への対抗、停止の制御には駆動装置が必要です。表示のゼロは等速時の重力トルクだけを意味します。

ロープ切断の結果は実機の安全を保証しますか?

いいえ。停止距離は初期速度と、モデルで仮定した調速機および非常止め装置の設定に依存します。実機は適用される安全規則に従って設計、検査、保守する必要があります。

用語

  • かご: 乗客を乗せる部分で、鋼製のかご枠に収めたかご室からなります。
  • つり合おもり: ロープの反対側のおもりで、ふつうはかごに定格積載量の 40 から 50% を足した重さです。
  • 綱車: モーターに付いた溝付きの車で、摩擦でロープを送ります。
  • そらせ車: 駆動しない車で、ロープの間隔を広げてかごとつり合おもりを離して吊ります。
  • 定格積載量: エレベーターが運べるように設計された最大の荷重で、モデルでは 1,000 kg です。
  • 定格速度: エレベーターが走るように設計された速度で、モデルでは 1.75 m/s です。
  • 調速機: 速度を検出し、かごが速すぎるときに自分のロープを止める装置です。
  • 非常止め装置: かご枠に付いたくさびやローラーで、調速機ロープに引かれるとガイドレールをつかみます。
  • インターロック: 乗場戸の施錠装置とスイッチで、戸が閉じて施錠されるまでかごを動かしません。
  • 緩衝器: ピットの、かごとつり合おもりの下にあるばねや油入りのクッションです。
  • 乗合全自動方式: 向きを変える前に、進行方向の呼びに順に応える運転の規則です。
  • 行先階予約システム: 乗る前に行き先の階を入力し、かごを割り当てる方式です。

参考資料

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