図 50しくみ館
マニュアルミッションの仕組み:変速を動かして体験
エンジンが同じ 3,000 rpm で回っていても、車は1速で 23 km/h、5速で 115 km/h になります。次のギアを入れてよいかどうかは、ビスケットほどの大きさの真ちゅうのリングが決めています。
この端末では 3D を表示できません。下の解説のステップを文章で読むことができます。
1 / 10 切り開いた5速変速機左側のクラッチはエンジンが付く側、右側から出力軸が出ていきます。3本の軸に11個のギアが載っています。ドラッグで見回すか、隅のシフトレバーを使ってください。
ドラッグで回転、ホイールか二本指で拡大します。
このモデルが見せるもの
マニュアルミッション (MT) の仕組みは、エンジンの回転数と車輪の回転数の比を、運転者が段階的に選べるようにすることです。街なかを走れば、1時間に数百回もギアを替えることがあります。それでもエンジンは、気持ちよく回る速さを変えません。車が駐車場をそろそろ進むことも、高速道路を巡航することもできるのは、クラッチとプロペラシャフトの間にある変速機のおかげで、この展示はその箱を切り開いています。
モデルは、エンジンが前にあり後輪を駆動する車の5速変速機です。ケースは半分を切り取ってあります。左側のクラッチはエンジンがボルトで付く側で、右側から出力軸が出ていきます。ギアを替えるには、3D表示の隅にあるシフトレバーを使います。クラッチが切れ、スリーブが滑り、真ちゅうのシンクロリングが働き、歯が固定される順序が、目で追えるようにゆっくり再生されます。パネルには各軸の回転数と、それに対応する車速が表示されます。「クラッチなしで変速」を入れると、教習所で必ず禁じられていることを試せます。
なぜエンジンには複数の変速比が必要なのか
ガソリンエンジンが実用的な出力を出せるのは、おおよそ 1,500〜6,000 rpm の範囲です。それより下ではエンストしかけるか、苦しげに回り、それより上では息切れします。一方、車は歩く速さから 100 km/h をはるかに超える速さまで走らなければなりません。エンジンと車輪を固定の変速比1つでつなぐなら、力強く発進できる比か、静かに巡航できる比かのどちらかしか選べず、両立はできません。
そこで変速機は、変速比を選べるようにしています。1速では、車輪が1回転するあいだにエンジンが何回転もして、トルクが増えるため、坂道でも発進できます。5速では、エンジンの回転がプロペラシャフトより少なく、ゆったりした回転数で距離を稼げます。運転者は、そのときの車速に対してエンジンが楽な範囲に収まるように、変速比を選んでいるのです。
動力は3本の軸をどう通るか
エンジンからプロペラシャフトまで、動力の流れを順にたどります。
- クラッチ。 フライホイールはエンジンのクランクシャフトにボルトで固定されています。クラッチディスクは、ダイヤフラムスプリングによってフライホイールとプレッシャープレートの間に挟まれ、入力軸にスプラインでつながっています。
- 入力軸。 23枚歯のギアが1つ付いていて、カウンターシャフトの33枚歯のギアと常にかみ合っています。
- カウンターシャフト。 6つのギアを1本の鋼から削り出した軸です。入力軸とは逆向きに、入力軸の 23 ÷ 33 の速さで回ります。
- 出力軸のギア。 カウンターシャフトのギアは、それぞれ出力軸上の相手とかみ合っています。この相手のギアは出力軸に固定されておらず、ニードルベアリングの上で、それぞれの速さで回ります。
- スリーブ。 3つのスライド式スリーブが、出力軸にスプラインで付いたハブの上に載っています。スリーブがギア側面のドグ歯にかぶさると、そのギアが軸に固定され、動力がそこを通ります。
- 出力軸。 入力軸と一直線に並び、プロペラシャフトと後車軸へ動力を送り出します。
4速は特別です。3-4速のスリーブは、入力側のギアそのものを出力軸に固定できます。すると2本の軸は一体で回り、カウンターシャフトは経由されません。これを直結といい、変速比はちょうど1です。
3,000 rpm での変速比と車速
モデルの数値は、典型的な5速変速機に見えるよう選んだモデル値で、特定の車から写したものではありません。前進の組はどれも歯数の合計が 56 枚なので、すべて同じ軸間距離に収まります。各ギアの変速比は、常時かみ合う組の比に、そのギア自身の組の比をかけたものです。
変速比 = (33 ÷ 23) × (出力軸側のギア ÷ カウンターシャフト側のギア)
| ギア | 組 (カウンターシャフト : 出力軸) | 変速機の変速比 | 最終減速比 3.909 込み | 3,000 rpm での車輪の rpm | 車速 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1速 | 15 : 41 | 3.922 | 15.330 | 195.7 | 23.3 km/h |
| 2速 | 22 : 34 | 2.217 | 8.668 | 346.1 | 41.2 km/h |
| 3速 | 28 : 28 | 1.435 | 5.609 | 534.9 | 63.7 km/h |
| 4速 | 直結 | 1.000 | 3.909 | 767.4 | 91.4 km/h |
| 5速 | 36 : 20 | 0.797 | 3.116 | 962.8 | 114.7 km/h |
| リバース | 13 : 17 : 38 | 4.194 | 16.395 | 183.0 | 後退 21.8 km/h |
エンジン回転数を車速に直すには、あと2つの数値が必要です。1つは後車軸の最終減速比で、43 : 11、つまり 3.909 です。もう1つはタイヤで、205/55 R16 は、16インチのリム (406.4 mm) に、幅 205 mm の 55% の高さのサイドウォールが両側に付く、という意味です。タイヤの直径は 631.9 mm、外周は 1.985 m になります。3速では次のように計算します。
車輪の回転数 = 3,000 ÷ (1.435 × 3.909) = 534.9 rpm
車速 = 534.9 × 1.985 m × 60 ÷ 1,000 = 63.7 km/h
ほかの行も同じ手順です。変速比は、1つ上のギアに進むたびに、1.77、1.55、1.44、1.26 で割った値になります。上のギアほど段差が小さくなるのが普通です。高速では空気抵抗が急に増えるので、4速と5速の間隔を詰めておくと、シフトアップしてもエンジンが得意な回転数の近くにとどまれます。1速から5速までのレシオカバレッジ (幅) は 4.92 です。
変速比はトルクと車輪の力をどう変えるか
このモデルはエンジンのトルクをシミュレートしないので、ここでは数値を1つ借ります。エンジンが 3,000 rpm で 150 N·m を出すとします。これは小型ガソリンエンジンを想定した仮の値で、実測値ではありません。この回転数での出力は 150 × 2π × 3,000 ÷ 60 = 47.1 kW で、変速機はこれを増やせません。変速機ができるのは、速度と力を交換することです。車輪のトルクはエンジンのトルクに総減速比をかけたもので、路面を押す力は、そのトルクをタイヤの転がり半径 (モデルの 205/55 R16 では 0.316 m) で割ったものです。
| ギア | 総減速比 | 車輪のトルク | 路面を押す力 | 同じ、4% の損失後 | 車速 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1速 | 15.330 | 2,300 N·m | 7,278 N | 6,987 N | 23.3 km/h |
| 2速 | 8.668 | 1,300 N·m | 4,115 N | 3,951 N | 41.2 km/h |
| 3速 | 5.609 | 841 N·m | 2,663 N | 2,556 N | 63.7 km/h |
| 4速 | 3.909 | 586 N·m | 1,856 N | 1,782 N | 91.4 km/h |
| 5速 | 3.116 | 467 N·m | 1,479 N | 1,420 N | 114.7 km/h |
2つの確認で、表に矛盾がないことがわかります。1速では、23.3 km/h (6.47 m/s) で 7,278 N なので、47.1 kW、つまりエンジンの出力になります。5速でも、31.9 m/s で 1,479 N なので、やはり 47.1 kW です。力は5分の1に下がり、速度は同じ倍率で上がっています。4% の列は、全米アカデミーズの燃費技術レビューの値を使っています。それによると、マニュアル変速機の損失はエンジン総出力の約 4%、一般的なオートマチックでは約 13% です。車重 1,200 kg の車なら、7,278 N は、タイヤが路面をつかめれば1速で 6.1 m/s² の加速に相当しますが、実際にはつかめないのが普通です。発進時の限界を決めるのは変速機ではなく、グリップです。
変速比は、シフトアップしたときにエンジン回転数がどれだけ落ちるかも決めます。3,000 rpm からだと、1速から2速で 1,696 rpm、2速から3速で 1,941 rpm、3速から4速で 2,091 rpm、4速から5速で 2,391 rpm まで落ちます。これらは、シンクロリングが合わせなければならない回転数と同じ数値で、向きが逆なだけです。最初の落差が大きいのは、1速が発進用の低いギアだからで、最後の落差が小さいのは、5速が高いギアだからです。ドライブの計画に役立つ数値もあります。モデル車は、エンジン 1,000 rpm あたり、5速で 38.2 km/h、4速で 30.5 km/h、1速で 7.8 km/h 進みます。
ギアがかみ合ったままでいられる理由
モデルでは、動力を伝えていないギアも含めて、すべてのギアが常に回っています。たとえば3速のとき、出力軸の遊びの5速ギアは 3,764 rpm で回り、その下の軸は 2,091 rpm で回っています。無駄に見えますが、これで昔からの問題が解決されます。初期の「クラッシュ」式変速機では、ギアそのものが横に滑ってかみ合ったので、歯の端どうしがぶつかって入らなければなりませんでした。常時かみ合い式なら、各組の歯は一生かみ合ったままで、ギアの側面にある小さなドグ歯だけが入り口を探せば済みます。
ギアが滑ってかみ合う必要がないので、軸に対して斜めに切ったはすば歯を使えます。モデルのねじれ角は 25° です。はすばの歯は、歯幅の全体でいっぺんに当たるのではなく、少しずつ当たっていくので、平歯の変速機よりずっと静かです。代わりに横向きの力が生じます。ねじれ角 25° では、軸方向の力は、ギアを回す力の tan 25° = 0.47 倍です。変速機はこれをテーパーローラーベアリングや玉軸受で受けます。カウンターシャフトの歯は、2つの平行なはすば歯車がかみ合うために必要なとおり、相手とは逆向きのねじれで切られています。
変速中にシンクロリングが何をするか
ここに難しさがあります。41 km/h で2速から3速にするとき、車はまだ走っているので、出力軸は 1,353 rpm で回り続けます。クラッチを踏むと、入力軸、クラッチディスク、カウンターシャフト、すべての遊びギアが、ひとまとまりのゆるい集合体になり、直前の約 3,000 rpm のまま回り続けます。出力軸の3速ギアもこの集合体の一部です。ガリッという音を立てずに3速を軸に固定するには、入力側を 3,000 × 1.435 ÷ 2.217 = 1,941 rpm まで落とさなければなりません。
その役目をするのがシンクロリングです。内側がテーパー状の真ちゅうのリングで、ハブとギアの間にあります。ギアには、それに合う鋼のコーンが付いています。レバーを動かし始めると、スリーブがリングをコーンに押し付け、両者の摩擦がギアを、そしてゆるい集合体ぜんたいを、軸の回転数に近づけます。モデルでは、回転数の差のバーが数百 rpm からゼロまで下がります。
回転数の差が残っているあいだは、摩擦がハブのキーに対してリングをわずかに回します。この位置では、リングの周りのブロッキング歯がスリーブの歯の前に来て、それ以上進めなくします。急いで変速すると引っかかるのはこのためで、まだ仕事を終えていないリングを押していることになります。回転数が揃うと摩擦が抜け、リングは歯の半分ほど戻り、歯の面取りがスリーブを導き入れます。その直後にスリーブはギアのドグ歯にかぶさり、ギアが軸に固定されます。実際の車では、この一連の動作が1秒に満たない時間で済みます。
シンクロ変速の数値
設計者は変速を1つの出来事として扱いません。DaimlerChrysler の S. Razzacki が 2004 年の SAE World Congress で発表した論文は、シンクロナイザーの変速を6つの出来事に分けています。最初は、ストラットと呼ばれるばね付きの小さなキーが、ブロッカーリングに触れることです。3番目は、スリーブの歯の先がリングの歯の先に当たり、リングがハブ内のわずかなバックラッシュ分だけ回る (「クロッキング」する) ことです。その後の出来事は、スリーブの面取りがリングの面取りを通り抜けることと、スリーブの歯がギア自身のクラッチング歯に届くことです。論文は、これらが順番に起きるよう各部の寸法を決め、衝突域と重いシフト域をグラフに描いています。コーンの働きが足りなければ、運転者には衝突音が聞こえます。リングの阻止が強すぎれば、レバーが固く感じられます。
設計がどこに落ち着くかは、2つのトルクで決まります。同期トルクは、コーンが摩擦で生み出すトルクです。インデックストルクは、リングを阻止位置に回すトルクで、リングの歯の角度 (「ポインティング角」) に左右されます。Razzacki と J. Hottenstein による、デュアルクラッチ変速機用シンクロナイザーの 2007 年の SAE 論文は、この決まりを明確に述べています。衝突音やガリガリ音を避けるには、変速のあらゆる時点で同期トルクがインデックストルクより大きくなければならず、一方で、粘る冷えたオイルの中でもリングがきちんと阻止するよう、インデックストルクは変速機全体の引きずりより大きくなければなりません。ポインティング角を急にするとインデックストルクは下がるので、操作力を減らそうと角度を急にした設計者は、最初の条件を保つために、コーンの摩擦をもっと増やす必要が出るかもしれません。
モデルにはストラットがありませんが、それでもコーンに必要な働きを見積もれます。2速から3速の変速を例にします。入力側は 3,000 rpm から 1,941 rpm まで、つまり 110.9 rad/s 落ちなければなりません。例として、クラッチディスク、入力軸、カウンターシャフト、遊びギアを合わせた慣性モーメントが 0.05 kg·m² だとします。取り除くエネルギーは ½ × 0.05 × (314.2² − 203.3²) = 1.43 kJ です。変速に 0.1 秒かかるなら、コーンは、この集合体に平均 0.05 × 110.9 ÷ 0.1 = 55 N·m のトルクを与え、0.1 秒のあいだ 14 kW を熱として逃がさなければなりません。真ちゅうのリングが長く耐えられる値ではないので、市販の変速機の多くでは、速度差がいちばん大きい低いギアにマルチコーンのシンクロナイザーが使われます。
クラッチなしで変速するとギアが鳴る理由
ここで「クラッチなしで変速」を入れ、3速から4速に上げてみましょう。クラッチがつながったままだと、入力軸は事実上、回っているエンジンにボルト止めされたままです。エンジンが 3,000 rpm で回っているので、入力側のギア、つまり4速のギアも 3,000 rpm で回ります。出力軸は 2,091 rpm です。シンクロリングは、エンジンの押し返す力に逆らって、エンジンとフライホイールのすべてを 909 rpm 減速させなければなりませんが、それを直径数 cm のコーンでやることになり、できるはずがありません。
そのためリングは阻止位置にとどまり、運転者が強く押せば、スリーブの歯は、まだ互いに滑り合っているドグ歯に届いてしまいます。半径 30 mm では、909 rpm の回転数の差は、歯の面が 2.9 m/s で通り過ぎることを意味し、1秒間に 424 枚のドグ歯が通過します。そのたびに歯がスリーブの面取りに当たって、押し戻されます。このガタガタがギア鳴きの音で、そのたびに、スリーブを導くはずの角が丸くなっていきます。
同じ計算は、昔のクラッシュボックスの運転者がダブルクラッチを踏んだ理由も説明します。クラッチを切り、レバーをニュートラルに入れ、クラッチをつなぎ、エンジンの力を借りて入力側が適切な回転数になるよう、ブリッピングするか待ち、再びクラッチを切って、それからやっとギアを選びます。今はシンクロリングが摩擦でやっていることを、運転者が耳でやっていたのです。
リバースとアイドラーギア
かみ合う2つのギアは、逆向きに回ります。カウンターシャフトはすでに入力軸と逆向きに回り、前進の各組がもう一度向きを反転させるので、出力軸はエンジンと同じ向きに回ります。車を後退させるには、経路にもう1つギアを入れます。モデルでは、カウンターシャフトの13枚歯のギアが17枚歯のアイドラーを回し、アイドラーが出力軸の38枚歯のリバースギアを回します。アイドラーは変速比を変えず、向きだけを変えます。
モデルのリバースギアは平歯です。これは普通のやり方で、リバースに入れた車が、前進では聞こえないうなり音を出すのはそのためです。多くの変速機は、アイドラーを滑らせてかみ合わせることでリバースに入れますが、これはギアが止まっているときにしか使えません。先に車を止めるべきなのはそのためです。モデルでは、5-R のスリーブとそのシンクロが、リバースに入る前に入力側を止めます。
のこぎり歯グラフを読む
どのギアでも、エンジン回転数は車速と直線で結ばれます。エンジン回転数は、車速をタイヤの外周で割り、ギアの変速比と最終減速比をかけたものに等しくなります。「操作」の中の速度と回転数のグラフは、ギアごとに1本の線を描きます。変速する回転数を選ぶと、その回転数まで1本の線を登り、同じ車速のまま次の線へまっすぐ落ちます。この落差がのこぎりの歯になります。
落差の大きさは簡単に求められます。シフトアップ後のエンジン回転数は、変速する回転数に、新しいギアと古いギアの変速比の比をかけたものなので、落差は、変速する回転数に「1 からその比を引いた値」をかけたものです。ホンダ シビック タイプ R では、2速が 2.115、1速が 3.625 なので、エンジンは回転数の 0.5834 を保ちます。7,000 rpm で変速すると 4,084 rpm に落ちます。上のギアほど変速比が近いので、歯は小さくなります。モデルの変速機で 6,500 rpm のときの落差は、2,826、2,293、1,970、1,320 rpm です。
最終減速比とタイヤのサイズはグラフを横に伸ばしますが、落差は変えません。だから図鑑では、車軸もタイヤも付いてこない Tremec TR-6060 のギア比セットを同じグラフに載せられます。その場合の速度は、モデルの最終減速比 3.909 と 205/55 R16 のタイヤで計算し、モデル値と表示しますが、回転数の落差は正確です。
各ギアで車輪にかかる力
車を押す力は、エンジンのトルクに、総減速比とギアの効率をかけ、タイヤ半径で割ったものです。「車輪にかかる力」のグラフは、これを車速に対して各ギアで描き、路面と空気が押し返す力を破線で並べます。ギアの曲線と破線の間が、車を加速させるのに残る分で、グラフの下の表はそれを m/s² に直します。
メーカーが公表するのは、トルク曲線全体ではなく2点だけです。最大トルクとそれが保たれる回転域、そして最大出力とその回転数です。グラフはこれらの点を直線でつなぎ、出力はレッドゾーンの手前までほぼ一定に保ちます。これは近似で、画面にもそう書いてあります。走行抵抗はどの車にも共通のモデル車1台分で、1,400 kg、転がり抵抗 0.012、空気抵抗面積 0.65 m² です。
すぐに2つのことがわかります。1つめは、100 km/h で最強のギアはシビック タイプ R では 2速で、6,719 rpm、車輪にかかる力は約 7.6 kN、4速のおよそ 1.5 倍です。2つめは、次のギアの曲線が、レッドゾーンの手前で今のギアの曲線を上回ることはほとんどないことです。最速の加速には、各ギアをレッドゾーンまで引っ張ります。出力が回転域でほぼ平らな車は例外で、GR スープラでは4速と5速の曲線が約 5,900 rpm で交わります。
回転合わせとダブルクラッチ
シフトダウンでは、エンジンの回転数を上げなければなりません。80 km/h のとき、モデルのエンジンは4速で 2,625 rpm、3速では 3,768 rpm 必要です。エンジンが低い回転数のままクラッチをつなぐと、クラッチがエンジンを一人で引き上げることになり、車は一瞬引き戻されます。クラッチを踏んだまま、スロットルを軽く踏み込む操作をブリッピングといい、これで先にエンジンを上げておく操作が回転合わせです。「操作」の回転合わせラボでは、この手順を自分で行え、どれだけずれたか、クラッチがどれだけ熱を受けたか、ショックがどれほどだったかが表示されます。エンジンの慣性モーメントを 0.15 kg·m² (モデル値) とすると、1,142 rpm まるごとずれた場合、クラッチには約 1.1 kJ が入ります。
シンクロのない変速機、つまりクラッシュボックスには、もう1つ問題があります。ギアを入れるには、入力軸がまず適切な回転数になっていなければならず、クラッチを切っていると、それを減速させるのは摩擦だけです。そこで昔のトラックや初期の自動車の運転者は、クラッチを2度踏みました。クラッチを切ってギアを抜き、ニュートラルでクラッチをつないでエンジンに入力軸を回させ、ブリッピングで新しい回転数に合わせ、もう一度クラッチを切ってギアを入れます。ラボのクラッシュボックスは、軸が必要な回転数の 150 rpm 以内 (モデル値) にあるときだけギアが入り、そうでなければ鳴ります。
発進: 滑り熱はどこへ行くか
停止状態からは、エンジンが回っているのに車輪は回っていないので、クラッチを滑らせなければなりません。クラッチが直結するまで、クラッチのトルクに回転数の差をかけたものが熱になります。発進ラボでは、保つエンジン回転数と、クラッチが伝えるトルクを選ぶと、モデル車を1速で1ミリ秒ずつ走らせて見せます。
そこには興味深い結果があります。クラッチが滑っているあいだエンジンを一定の回転数に保つと、クラッチは、車が運動エネルギーとして得る量とほぼ同じ量のエネルギーを熱に変えます。3,000 rpm で 200 N·m だと、クラッチは約 32.5 kJ を受け、車が得るのは約 29.3 kJ で、残りは走行抵抗に使われます。代わりに 2,000 rpm、180 N·m で発進すると、熱は約 14.5 kJ に減ります。そのとき出せるエンジンのトルク以上をクラッチに要求すると、エンジンは遅くなり、650 rpm (モデルの限界) を下回るとエンストします。よい発進は、その中間にあります。エンジンが止まらない程度に回転を上げ、クラッチを焼かない程度に抑えるのです。
図鑑の実在の変速機
図鑑には31件が載っています。18件は公表されたギア比をもつ車で、ホンダ シビック タイプ R とシビック Si、アキュラ インテグラ タイプ S とインテグラ 6MT、トヨタ GR86、GR カローラ、GR スープラ 3.0、マツダ MX-5、日産 Z、スバル WRX、フォード マスタング2車種、そして Tremec TR-6060 を使う6車種です。12件は Tremec の変速機のギア比セットで、最後の1件がこのページのモデルです。数値は、メーカー自身のプレスキット、カタログ、製品シートから採っていて、出典のリンクは各項目の下にあります。
目を引く点がいくつかあります。シビック タイプ R とインテグラ タイプ S は、すべてのギア比と最終減速比 3.842 を共有しています。GR カローラの最終減速比は2種類で、1〜4速が 4.058、5速・6速・リバースが 3.450 です。MX-5 は6速が直結 (1.000)、日産 Z は5速が直結で、モデルの4速と同じです。カマロ SS の6速は 0.50 で、巡航時にエンジンがプロペラシャフトの半分の速さで回ります。Tremec は TR-6060 の軸間距離を 85 mm、全段にダブルコーンとトリプルコーンのシンクロとしていますが、モデルでは1ギアにコーン1つです。
モデルが実物より単純なところ
- ギア比はモデル値で、各組は歯数の合計がちょうど 56 枚です。実物の変速機は歯数を調整し、組ごとにねじれ角とモジュールをわずかに変えます。
- 実物のシンクロは、低いギアで2つか3つのコーンをもつことが多く、これは低いギアが最大の速度差を受けるためです。モデルは1ギアにコーン1つです。
- スリーブをニュートラルに保つキー、ばね、デテントボール、2本のレールが同時に動くのを防ぐインターロックは省いています。
- ベアリング、オイルシール、オイルそのものもありません。実物では、低いギアがオイルに浸かり、あたりに飛ばします。
- クラッチのすき間は、開く様子が見えるよう、実物の約2倍に描いています。ペダルを踏み続けると、右足がアクセルから離れたかのように、エンジンは 900 rpm まで落ちます。
- 車速は公称のタイヤサイズを使い、タイヤの滑りを無視しています。荷重のかかったタイヤは、公称より数 % 小さく転がります。
同じ考え方で作られたほかの変速機
モデル T。 フォードのこの車は、1908 年から 1927 年まで2速の遊星歯車装置を使いました。ヘンリー・フォード博物館によると、そのギアは常にかみ合っていたので、当時のシンクロのない摺動式ギアより変速が楽でした。これは、マニュアル変速機が常時かみ合い式になった理由と同じ論理で、別の道筋でたどり着いています。
オートバイ。 1963 年のトライアンフ タイガー カブを再生したプリンストン大学の学生チームは、モデルと同じ構造を説明しています。メインシャフトとカウンターシャフトがあり、シフトフォークがギアを軸に沿って滑らせるものです。違いはセレクターです。そのエンジンでは、足で操作するチェンジクアドラントがシフターのプレートを動かし、それがフォークを引き離したり押し寄せたりします。のちのオートバイでは、ホンダのレース用変速機のシフトバレルのように、溝付きのドラムを使うのが一般的です。どちらの方式でも、乗り手は1段ずつ上げ下げするので、これがシーケンシャルな変速機と呼ばれる理由です。乗り手はギアを自由に選べなくなる代わりに、ゲートがなく、1つの動く部品がすべてのフォークを動かす変速機を得ます。
レーシングカー。 ホンダの技術者は、1990 年代の初めからのフォーミュラ・ワンの変速機は、オートバイと同じ原理の、ドグクラッチとシフトバレルを使うと書いています。シンクロリングはありません。ホンダがまとめた当時の規則では、前進は4〜7段で、CVT は禁止でした。ドグ式の問題は、ドグ同士が端と端でぶつかってギアを傷めることだったため、ホンダのチームは、変速中もエンジントルクが流れ続ける変速と、バレルをドグの間のすき間に合わせて動かす制御装置を開発しました。ホンダによれば、2008 年までに全チームが、トルクが途切れない変速機を持つに至りました。Xtrac の市販 F1 変速機 P1044 は、7速、駆動が途切れないシーケンシャル選択、連続入力トルク 340 N·m と載っています。
オートマチック。 一般的なオートマチックは、カウンターシャフトとスリーブを、クラッチとブレーキで切り替える遊星歯車装置に置き換え、摩擦クラッチをトルクコンバーターに置き換えます。ZF は、8HP の8速が、4組のギアセットに対して5つの変速要素だけで済み、全体のレシオカバレッジが 7.0 だと述べています。モデルの5速のレシオカバレッジは 4.92 なので、オートマチックのほうが段数が多く、広い範囲をカバーします。代償は効率で、全米アカデミーズのレビューは、一般的なオートマチックの効率を 86〜94%、マニュアルの損失をエンジン出力の約 4% としています。
デュアルクラッチ。 DCT はマニュアルと同じ配置を保ちながら、2本の入力軸に2つのクラッチを使い、1つは奇数段、もう1つは偶数段を担当します。2010 年に導入されたホンダのオートバイ用 DCT のページが、まさにこれを説明しています。1つのクラッチは1、3、5速、もう1つは2、4、6速です。1つのギアが駆動しているあいだに、次のギアはもう一方の軸で選択済みで、変速はクラッチの受け渡しになります。同じ全米アカデミーズのレビューによると、6速の湿式 DCT は6速オートマチックより燃料消費を最大 4.1% 減らせる一方、乾式は運転のしやすさに問題があり、発進のなめらかさには及ばないとしています。
CVT。 無段変速機には段がまったくありません。ホンダの 2020 年型 CITY のユニットは、2つのプーリーの間に金属の押し式 V ベルトを使い、プーリーの有効径が変わるにつれて変速比が連続的に変わります。ギアがないので、同期させるものがなく、車が加速してもエンジンは一定の回転数を保てます。フォーミュラ・ワンは、上に引いた規則が示すとおり、これを禁止しました。
よくある誤解
「低いギアはエンジンの出力を増やす。」 増やしません。車輪の出力は、エンジンの出力から損失を引いたものです。低いギアは、表のとおり、低い速度で大きな力を与え、エンジンをより高い回転数で回させるので、そこで普通はより大きな出力が出ます。
「高いギアなら必ず燃費がよい。」 エンジンに無理がかかっていないあいだだけです。低い速度で高いギアに入れると、エンジンは高負荷、低回転で働くことになり、1段下のギアより燃料を食うことがあり、駆動系が震えることもあります。
「シンクロリングがすべてをやる。」 リングが合わせるのは、ギアと軸の回転数だけです。エンジンを切り離すには、やはりクラッチペダルが必要で、モデルの「クラッチなしで変速」が失敗するのはそのためです。
「変速機の中では、どのギアも軸に固定されている。」 固定されているのは1つだけです。モデルの3速では、出力軸の遊びギアは、約 770 rpm (1速) から 3,760 rpm (5速) まで、ニードルベアリングの上で何にも固定されずに回っています。
「何もかみ合っていない4速がいちばん効率がよい。」 カウンターシャフトのギアは、今もかみ合い、オイルの中で回っているので、多少の引きずりが生じます。直結は少し有利ですが、損失がゼロではありません。
「ダブルクラッチは古いやり方にすぎない。」 同じ仕事を手でやっているのです。シンクロのない変速機の運転者は今もそうしていますし、ドグクラッチのレース用変速機も、センサーと制御装置で同じことをしています。
画面で試してみる
- ギアを2速、続いて3速にして、パネルを見ます。入力軸は約 3,000 rpm から 1,941 rpm まで落ちるはずです。スロー再生を遅くして、リングがスリーブを通す前に、回転数の差のバーが閉じるのを見てください。
- クラッチを踏み続けるを入れてから、ギアを替えます。モデルではエンジンが 900 rpm まで落ちますが、ディスクと入力軸は車と一緒に回り続けるので、シンクロリングが減速させるのはゆるい集合体だけです。
- クラッチなしで変速を入れて、3速から4速に変えます。回転数の差の行には、本文にある 909 rpm が出て、エンジンがまだつながっているというメッセージが表示されるはずです。そのあと、通常の3速から4速の変速と比べてください。
- 分解を 1 にして、中を見ると部品名を入れます。出力軸の3つのスリーブを探してください。担当は、1と2速、3と4速、5速とリバースです。
- ギアをニュートラルからリバースにして、出力軸が逆向きに回ることを確かめます。パネルではその回転数が負の数で表示されます。経路にあるもう1つのギアを数えてください。
歴史を少し
複数のギアを備えた最初の自動車は、摺動式の変速機を使い、ギアが滑ってかみ合う瞬間を運転者が見計らいました。これが「クラッシュボックス」で、名前のとおりでした。ドグクラッチをもつ常時かみ合い式の変速機は変速を楽にしましたが、回転数を合わせるのはやはり運転者の仕事でした。
オレゴン出身の技術者アール・A・トンプソンは、1918 年 3 月に変速機構の特許を出願し (1922 年に成立)、何年もデトロイトの自動車メーカーに売り込みました。彼のシンクロメッシュは 1928 年のキャデラックで量産に入り、キャデラックは 1929 年に彼を副技師長に任命しました。シンクロメッシュの原理は、いまではほぼすべてのマニュアル変速機で使われています。
よくある質問
そもそも、なぜ車に変速機が必要なのですか。
エンジンが実用的な出力を出せる速度の範囲は限られていますが、車は歩く速さから高速道路の速さまで走らなければなりません。変速機が変速比を選べるようにしているので、エンジンはどんな車速でも使いやすい範囲にとどまれます。
すべてのギアは本当にずっと回っているのですか。
常時かみ合い式の変速機では、そのとおりです。入力軸が回っているあいだ、カウンターシャフトのギアはすべて、出力軸の相手とかみ合っています。動力を伝えるのはスリーブがかみ合っているギアだけで、ほかのギアはベアリングの上で自由に回っています。
シンクロリングは実際に何をするのですか。
小さなコーンクラッチです。スリーブがギアを軸に固定する前に、リングがギアのコーンにこすれて、ギアを軸の回転数に合わせます。ブロッキング歯は、回転数が揃うまでスリーブを入れないようにもしています。
クラッチを完全に踏まないと、ギアが鳴るのはなぜですか。
クラッチが半分つながったままだと、エンジンが入力側を駆動し続けます。シンクロリングは、回っているエンジンの回転数を変えるには小さすぎるため、ドグ歯が互いに動いたままぶつかり、はね返されます。
直結とは何ですか。
モデルでは、4速が入力軸を出力軸にじかに固定します。カウンターシャフトのギアは回りますが動力は伝えず、変速比がちょうど1で、損失が少し小さくなります。
リバースでうなり音が出るのはなぜですか。
リバースのギアは、たいてい平歯で作られていて、歯が歯幅全体でいっぺんに当たります。そのため歯が触れるたびにうなり音が出ます。前進のギアはねじれ歯 (はすば) で、ずっと静かです。
シフトレバーに手を置いたままにするのは悪いことですか。
レバーはフォークにつながり、フォークは回っているスリーブの溝に入っています。手を置いて軽く押し続けると、フォークがスリーブに押し付けられてフォークの当たり面が減るので、手はハンドルに置くほうがよいです。
5速で 3,000 rpm とは、燃費にとってどういう意味ですか。
3,000 rpm のとき、モデル車は5速で 114.7 km/h、4速で 91.4 km/h です。同じ車速なら、高いギアのほうがエンジンの回転がゆっくりになり、摩擦やポンピング損失が減るので、エンジンが苦しくない限り、燃費は普通よくなります。
シーケンシャル変速機と H パターンの変速機は何が違いますか。
H パターンの変速機では、レバーがゲートを横に動いて、どのギアからでも好きなギアを選べます。シーケンシャルの変速機では、ドラムやプレートがすべてのフォークを順に動かすので、1段ずつしか上げ下げできません。足1本やパドル1回でドラムを動かせるので、オートバイやレーシングカーはシーケンシャルを使います。
レーシングカーの変速機にシンクロリングがないのはなぜですか。
ホンダの技術者は、フォーミュラ・ワンの変速機を、シフトバレルで動かすドグクラッチで、シンクロのコーンはないと説明しています。代償として、ドグが隣のドグと端と端でぶつかることがあり、回転数とタイミングを制御しなければなりません。ホンダの変速制御は、バレルをドグの間のすき間に合わせて動かすことでこれを行っています。
デュアルクラッチの変速機は、なぜ間を置かずに変速できるのですか。
2本の入力軸に2つのクラッチがあり、1つは奇数段、もう1つは偶数段を担当します。今のギアが駆動しているあいだに、次のギアは休んでいる軸で選ばれています。変速は一方のクラッチからもう一方への受け渡しだけです。ホンダのオートバイ用 DCT はこの構造です。
マニュアルはオートマチックより効率がよいのですか。
たいていはそうです。全米アカデミーズの燃費技術レビューは、損失をマニュアルでエンジン出力の約 4%、一般的なオートマチックで約 13% としています。新しいオートマチックやデュアルクラッチは、その差の一部を縮めています。
車には何段のギアが必要ですか。
大事なのは、1速の変速比を最高速ギアの変速比で割ったレシオカバレッジと、段の間隔の詰まり具合です。モデルの5速のレシオカバレッジは 4.92 です。ZF の8速オートマチックは 7.0 で、より広い範囲を、より小さな段差でカバーします。ホンダのレポートの時点のフォーミュラ・ワンの規則では、前進4〜7段が認められていました。
CVT にシンクロリングはありますか。
ありません。ホンダのベルトとプーリー式のような CVT には、固定するギアの組がないので、同期させるものがありません。変速比はプーリーを動かして変えるため、車が加速してもエンジンは一定の回転数でいられます。
最速の加速には、どこでシフトアップすればよいですか。
たいていはレッドゾーンです。「車輪にかかる力」のグラフでは、次のギアの曲線がレッドゾーンの手前で今のギアの曲線を上回ることはほとんどないので、早く変速すると力を手放すことになります。例外は、出力が回転域でほぼ平らなエンジンで、5,000〜6,500 rpm の GR スープラがそうです。
シフトダウンでガクンとするのはなぜですか。
エンジンが、低いギアの必要とする回転数より遅く回っていて、クラッチがそれを引き上げることになるからです。モデルで 80 km/h のまま4速から3速に落とすと、エンジンは 2,625 rpm から 3,768 rpm まで上がらなければなりません。クラッチをつなぐ前にスロットルでブリッピングしておけば、その仕事が済み、ガクンとはなりません。
用語
- クラッチ: エンジンと変速機の間の摩擦式のつなぎで、フライホイール、クラッチディスク、プレッシャープレートからなります。
- 入力軸: クラッチディスクに駆動される変速機の軸です。
- カウンターシャフト: 入力軸と出力軸の下にあり、固定ギアを載せた軸で、副軸ともいいます。
- 出力軸: 変速機の外へプロペラシャフトに動力を送り出す軸で、メインシャフトともいいます。
- 常時かみ合い式: 全部の組が常にかみ合っていて、ギアを軸に固定することで選ぶ方式です。
- はすば歯車: 歯が軸に対して斜めに切られた歯車です。
- ドグ歯: ギアの側面にある短い四角い歯で、スリーブがかぶさります。
- スリーブ: ギアを軸に固定する、内側に歯をもつスライド式の筒で、セレクタースリーブやシンクロスリーブともいいます。
- シンクロリング: 内側が円すい形の真ちゅうのリングで、摩擦で回転数を合わせます。ブロッキングリングともいいます。
- シフトフォーク: スリーブの溝に入り、スリーブを軸に沿って動かす部品です。
- アイドラーギア: 2つのギアの間に置き、変速比を変えずに回転方向だけを反転させるギアです。
- 最終減速比: 変速機の後ろ、車軸にある減速で、モデルでは 43 : 11 = 3.909 です。
- ダブルクラッチ: シンクロのない変速機で、ニュートラルで一息おきながら、エンジンの力を借りて回転数を合わせる操作です。
- インデックストルク: シンクロリングを阻止位置に回すトルクで、同期トルクより小さく、変速機の引きずりより大きくなければなりません。
- レシオカバレッジ: 最も低いギアと最も高いギアの変速比の比で、モデルでは 4.92 です。
- シーケンシャル変速機: ドラムやプレートがギアを順番に動かす変速機です。
- 回転合わせ: シフトダウンでクラッチをつなぐ前にスロットルでエンジン回転数を上げ、エンジンと車輪の回転数を先に揃えておくことです。
- のこぎり歯グラフ: 各ギアについて、エンジン回転数を車速に対して描いたグラフで、変速するたびにエンジンが次のギアの線へ落ちます。
- 走行抵抗: 転がり抵抗と空気抵抗による力で、車輪にかかる力がこれを上回らなければなりません。
- ドグリング: レース用変速機で、側面にドグをもち、シンクロのコーンなしでギアを固定するスライド式のリングです。
参考資料
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- Mazda USA, 2025 MX-5 Miata Spec Deck (直結の6速をもつ 6MT のギア比、最終減速比 2.866、レッドゾーン 7,500 rpm). https://filecache.mediaroom.com/mr5mr_mazdausa2/224650/download/25MY%20MX-5%20Spec%20Deck.pdf (確認日 2026-10-27)
- Nissan News, 2024 Nissan Z NISMO Specifications (直結の5速をもつ 6MT のギア比、最終減速比 3.538、スポーツグレードは 245/45R18). https://usa.nissannews.com/en-US/releases/2024-nissan-z-nismo-specifications (確認日 2026-10-27)
- Subaru of America, 2022 WRX Specifications (6速マニュアルのギア比、前後デフ比 4.111、ベースモデルは 235/45R17). https://s3.amazonaws.com/subarumedia.iconicweb.com/mediasite/specs/2022_WRX_Specs-FINAL.pdf (確認日 2026-10-27)
- Ford of Europe, 2024 Ford Mustang technical specifications (Getrag MT-82 と Tremec TR-3160 のギア比、アクスル比。サーバーが自動ダウンロードを拒否するため、検索エンジンのコピーで確認). https://media.ford.com/content/dam/fordmedia/Europe/en/2024/01/NewMustang/2024_Ford_Mustang_technical_specification_EU.pdf (確認日 2026-10-27)
- このページの計算: 変速比 = (33 ÷ 23) × (z_出力 ÷ z_カウンターシャフト)、タイヤ直径 = 25.4 × 16 + 2 × 0.55 × 205 = 631.9 mm、車速 = rpm ÷ (変速比 × 3.909) × 1.985 m × 60 ÷ 1,000、シフトアップ後に合わせる回転数 = 3,000 × r_新 ÷ r_旧、歯の力の軸方向の分力 = tan 25° = 0.466、ドグ面の速度 = Δrpm ÷ 60 × 2π × 0.030 m、車輪のトルク = 150 N·m (仮定) × 総減速比、押す力 = トルク ÷ 0.316 m、シンクロのエネルギー = ½ × 0.05 kg·m² (仮定) × (ω₁² − ω₂²)。
解説とシミュレーションは CC BY-NC-SA 4.0(特記のあるものを除く)。





